cpap 睡眠時無呼吸症候群・CPAP外来・いびき治療

睡眠時無呼吸症候群とは

文字通り「睡眠時」に「無呼吸」を起こす病気です。英語ではSleep Apnea Syndromeであり、頭文字をとって「SAS」と略すことがあります。「無呼吸」とは10秒以上呼吸が停止することと定義され、この無呼吸が1時間当たり5回以上あるいは7時間の睡眠中に30回以上ある場合に「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。

この1時間あたりの無呼吸(および呼吸低下=低呼吸)の数をAHI(apnea-hypopnea index)といい、5~15までが軽症、15~30までが中等症、30以上が重症と分類します。また、この睡眠時無呼吸症候群には、頻度が多い閉塞型無呼吸と、頻度は少ない中枢型無呼吸があります。閉塞型無呼吸は、呼気努力はあるものの上気道(のどの奥)が狭くなっているために呼吸が止まるもので、一方の中枢型無呼吸は、脳障害のために呼吸指令がないものや、心臓が悪いためにその指示がとどきにくくなって生じるもので、呼気努力が認められません。

この病気の方は30秒以上とまってしまうこともまれではありません。呼吸がそんなに長く止まったら、死んでしまうのではないか?と思われがちです。でも、実際この無呼吸自体で死んでしまうことはないといえます。ただ無呼吸が何ヶ月も、何年も続くことで体に負担がかかり、若いうちから高血圧になったり、心臓発作・危険な不整脈や脳卒中を起こしてしまい障害が残ったり、突然死してしまうことがあります。一方でご存知の方も多いと思いますが、強い昼間の眠気が原因で起きた、鉄道の居眠り運転による事故など、ご本人はもとより、周囲の方や社会的にも問題となるのです。

正しい治療で改善・コントロールが可能

この睡眠時無呼吸症候群はしっかり治療すると無呼吸がなくなり、怖い病気や眠気などの症状もきちんとコントロールできます。この病気は何も特殊な病気ではありません。有病率は全人口の4%といわれており、我が国でも200万人もの人が睡眠時無呼吸症候群をもっていると言われています。最近では鉄道事故などで注目されるようになりましたが、なかなか気づきにくく、いびきや眠気なんかで病院にいくなんて恥ずかしいという理由などで、まだまだ治療を受けている方が少ないのが現状です。

睡眠障害

睡眠時無呼吸症候群の検査

1ご来院
多くの方は日中の眠気、いびき、全身の疲れやすさ、夜間の息苦しさ・呼吸停止といった症状で来院されます。
2自覚症状チェック
ESSという質問紙票をもとに自覚症状をチェックします。
3合併症チェック
問診・聴診・血圧測定などで合併症のチェックをします(必要に応じて検査を追加いたします)。
4無呼吸の有無チェック
簡易睡眠モニターを持って帰ってもらい、寝る前に着けて睡眠中の無呼吸の有無を調べます。
5結果・治療方針の決定
次の外来で簡易睡眠モニターの結果をもとに、治療方針を相談します。
※必要に応じて、提携している虎の門病院などでの1泊ないしは2泊の精密検査をご相談いたします。

問診票について

いきび、無呼吸ほか、睡眠でお困りの方は、「睡眠時無呼吸検査問診票」にも事前に記入していただければ、待ち時間を減らすことができますので、ご協力ください。

通常の「問診票」と「睡眠時無呼吸検査問診票」は、下記の「受診について」ぺージよりダウンロードいただくことができます。

受診について(初めての方へ)

睡眠時無呼吸症候群の治療

生活習慣の改善

減量

肥満になると、気道周囲の脂肪の沈着などが影響して無呼吸を増悪させます。減量によってそれが改善することがあります。やせましょう。

アルコール制限

アルコールは気道の筋力が低下するため、気道がペチャンコになり呼吸が悪くなるので、「寝酒」は禁物です。

睡眠導入剤の制限

一部の睡眠導入剤を除いて、アルコールと同様に気道の筋力が低下するため、呼吸を悪くします。医師と相談されてください。

禁煙

喫煙中により体内の酸素濃度を減らし、のどや気道の炎症を起こすため無呼吸が悪化することがあります。禁煙しましょう。

専門治療

(1) CPAP治療

現段階で睡眠時無呼吸症候群に対する治療法として確立しているものはCPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸療法)です。即効性・確実性・安全性いずれからみても、最も勧められる治療法です。

図1のように鼻マスクをつけ、鼻から気道に空気を送る小型の機械を枕元においてそこから空気を送り込み圧を加えることで、ペチャンコになった気道を開放してあげるわけです。寝る前から起床時までの治療により日中も快適となり、最近の機種はコンパクトなので旅行・出張にも持ち運びができるようになっています。この圧力は患者さん個人個人によって変わります。

機械はレンタルでありレンタル費用+治療費用も保険が適用され、毎月約5000円ですみます。

CPAP外来

(2) マウスピース療法

下あごを前方に出すことにより、狭くなった気道を広げることができる治療法です(図2)。軽度~中等度の睡眠時無呼吸症候群の方に効果があり、とくにアゴが小さく肥満でない方に有効です。

マウスピースは提携している無呼吸専門の歯科医療機関に依頼して作製します。3回ほどの通院で健康保険適用で約2万円の自己負担でOKです。その人にあった形で作製しますので、ぴったりフィットします。

小型で持ち運びがCPAPより容易で便利ですが、高度の無呼吸症候群に対する治療効果には限界があります。

マウスピース治療については、当院の2Fにある「にしかわデンタルクリニック」と連携してやっております。

(3) 耳鼻咽喉科的手術療法

のどの扁桃腺や口蓋垂(いわゆるのどちんこ)が大きいなどが原因で睡眠時無呼吸症候群になっている場合には、熟練した専門の耳鼻咽喉科に依頼して手術で改善が期待できる場合があります。ただまだ一部の医療機関でしか十分に行われておらず、これからの治療といえます。

(4) ナステント治療

現在は当院で行っておりません。

CPAP外来について

睡眠時無呼吸症候群に対する治療としてCPAPを使われている皆様へ

現在の新型コロナウイルス感染拡大予防として、CPAPのマスクフィッティング等の調整業務は、当院院内では中止させていただいております。

つきましては、以下の点にご協力ください。

  • 不要になったマスクは当院に持参せず、ご自身で廃棄されてください。「(ビニールに入れて)燃えないゴミ」ないし、各自治体のルールに従い、廃棄下さい。
  • マスクフィッティングが必要な方は、事前に当院までお電話(03-5426-6550)を頂き、その上で来院日時を相談させていただきます。感染防護対策をした上で対応させていただきます。
  • その他、マスク関連でのご相談は、事前に当院までお電話(03-5426-6550)を頂くようお願いいたします。

CPAP療法の当院での遠隔モニタリング対応について

当院において、遠隔モニタリングシステムを用いることで、2か月に一度の診療が可能となりました。

対象者
1
当院においてCPAP治療を6か月以上毎月来院されている患者様 【※注1】
2
遠隔モニタリングが可能なCPAP機器をお使いいただき、当院との通信が確認できている患者様
3
定期的な処方が必要でない方 【※注2】

※注1・・・他院から転入された患者様で、以前から毎月でなく2か月に一度などの遠隔対応をされてきた場合でも、当院で開始後6か月間は毎月の対面診療必要となります。

※注2・・・頓服の点鼻薬や睡眠導入剤、臨時の感冒剤等のみの場合はこの限りではありません。

CPAP療法の当院での遠隔モニタリング対応の詳細は、下記をご覧ください。

遠隔モニタリング対応

【下記より問診票をダウンロードしていただけます。】

遠隔モニタリングシステムを用いた
CPAP診療に関する問診票

CPAP治療の概要

CPAPによる治療中の方は、月1回の外来にて、CPAPの使用状況・機械の状況・無呼吸の程度やご本人の状況をトータルにチェックさせていただきます。健康保険が適用されており、毎月約5000円の費用負担ですみます。CPAP外来のみ、予約可能です(電話予約/院内予約)

*持続陽圧呼吸療法(CPAP)は、基準を満たした睡眠時無呼吸症候群の患者様に保険診療として治療を行うことが認められています。 ただ、この治療は人工呼吸器に準じた治療器ですので、安全にかつ適切に治療を受けていただくために症状の有無に関わらず必ず月に最低1回は担当医師の診察が必要です。
*最近では中枢性無呼吸にも有効なタイプの治療器(ASV)もでてきており、今までCPAPであまり効果のなかった方にも期待できるようなりました。

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