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睡眠時無呼吸症候群・いびき~CPAP以外の治療②肥満改善治療~

睡眠時無呼吸症候群には、閉塞型と中枢型があり、多くの方は閉塞型のタイプで、CPAP(持続陽圧呼吸療法)やマウスピース治療が主流です。

ただ、高度肥満の方は体重管理・肥満改善により無呼吸の改善が期待され、CPAPやマウスピース治療ど同様に重要になります。

そのためには食事療法および運動療法が重要で、効果としては食事制限が大きいのですが、維持管理として運動療法も大事です。

運動の量としては、1日30分の有酸素運動(ウォーキング、自転車こぎ、ボート漕ぎ、スイミング等)を毎日行うことでの効果が認められています。2012年にデンマークでの研究において毎日30分運動したグループを60分運動したグループと比較し、30分運動群では3ヵ月間で平均3.6kgの体重減少がみられたが、1時間運動群では2.7kgの減量しかみられませんでした。体脂肪は両群とも約4kg減少していたが、60分行った割には30分行ったグループほど効果がでておらず、30分の運動で十分であると結論づけられました。

この有酸素運動の程度は単に同じスピードより運動するより、インターバル速足(例えば5分さっさと歩いて5分普通のスピードで歩く、の繰り返し)など、強弱をつけた運動がより効果的だとわかっています。

さらに筋肉をつけることにより基礎代謝が大きくなるために減量には筋トレも有効であることが知られており、有酸素運動と組み合わせることによりその効果はさらに増すことが分かっています。。

一方で、肥満症治療薬ウゴービ(ノボノルディスクファーマ社)が2023年11月に薬事承認され、2024年2月から実際に保険適応で処方できるようになります。

この薬剤は、GLP-1受容体作動薬といって、すい臓にあるセンサーに働き、です。 インスリン分泌の促進により、血糖値を下げ、食欲抑制などダイエット効果が期待できます。

胃での停滞時間を長くして摂取した食物の 胃からの排泄を遅らせたり、食欲を抑えたり する作用もあります。

ただむやみにやせ薬として用いることには慎重を要し、この薬を用いられる条件として、①高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかの病気があり、食事療法・運動療法でも十分な効果が得られず、肥満度を測る指標のBMIが35以上であるか、②BMIが27.5以上で、(1)耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)(2)脂質異常症(3)高血圧(4)高尿酸血症・痛風(5)冠動脈疾患6)脳梗塞:(7)非アルコール性脂肪性肝疾患(8)月経異常・不妊(9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群(10)運動器疾患(変形性関節症など)(11)肥満関連腎臓病のうち2つを有する方と定められており、つまり①ないし②の条件にあたはまる方を専門の医師が判断することが必要です。使い始めに 下痢、便秘、吐き気・嘔吐などの胃腸症状 がみられることがあります。

いずれにせよ、専門医に相談した上での処方となり、どこの医療機関でも処方してもらえるわけではなく、基本は食事療法および運動療法であることをご承知おきください。

ウゴービに関する詳細は発売となる2024年2月に公開されます。

また、肥満症に対する減量手術(保険適応)も世田谷区内基幹病院(関東中央病院肥満外来)と連携・紹介ののち行っています。胃を小さくする手術(スリーブ状胃切除術)で、胃をバナナ状に細長く切除して、食事摂取量を減らす術式です。肥満症に対して6ヶ月以上の内科的治療を受けても十分な効果が得られない、年齢が65歳以下、肥満度(BMI)が35以上の高度肥満があり、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のうち、いずれかの肥満関連合併症を有している方が対象となり、十分な診療の後で適応を決定となります。
また、この手術の適応にならない中等度の肥満症(BMI27以上)において、ウゴービ注射と同じ11の肥満関連健康障害のうちいずれかの健康障害を有している20歳以上で65歳以下の方に対して、内視鏡的バルーン留置術を、同じ関東中央病院にて行っており、紹介・連携しています(自費診療となります)。

※BMI:Body Mass Index 体重[kg] ÷ ( 身長[m] × 身長[m] )で算出された値